合わせる

あわせの美意識、
それは遊びの原型。

京都に都を置いた平安時代は、唐風文化から国風文化の土台を築いた時代であるとも言われています。

十二単衣に象徴されるあわせやかさねと呼ばれる手法の、美の演出がなされ、美しい風俗と文化を築きあげました。このあわせの文化は、色や形をあわせるだけでなく、季節や歌などのそれぞれのテーマがあり、そのテーマにあわせて色、形、柄などをあわせていくという徹底したあわせの妙を楽しみました。

この美意識と妙味を楽しむ心は、やがて遊びやゲームとして発展していきます。
歌あわせ、貝あわせ、かるたあわせなどがそれです。和歌などの“本歌どり”という手法も元の歌にあわせる思想が働いています。
「あわせあう」という遊び心の起源を探ると、もともとは神様を遊ばせることにあったようです。神を遊ばせ、神にあわせて共に楽しむという精神が、遊びの原型だったということです。

神と人との関係は、次第に人間同士の主客の関係となり、主客をあわせその現場に調度品や料理をもあわせて遊ばせるようになり、これを「もてなす」と呼ぶようになったということです。

神様を遊ばせるという始源的な意味も、私たちの暮らしの中に「あそばせ」とか「あそばします」という敬語の中に残っています。今流行のコーディネイトというのとは少しニュアンスの違う、日本の“あわせ”の文化意識です。